会津工場をめぐるストーリー

EPISODE 10

金属加工部特殊加工第2課特殊加工マグネシウム係山内利也

Toshiya Yamauchi

photo: Kitchen Minoru
2019.12.04

僕が勤務しているのは会津工場のマグネシウム加工棟です。交換レンズやデジタルカメラに使用されるマグネシウム素材のパーツを加工する工程で、2018年に新設され、同時に配属となりました。高校を卒業して会津工場に入ったのが2011年で、2016年からはシネレンズを担当。シネレンズもSIGMAとしては新しい挑戦だったのでとても貴重な経験になりましたが、そこから新しくできたマグネ棟に抜擢された時はうれしかったですね。

ただ、マグネシウムは扱いが難しい物質で、非常に燃えやすく、爆発を誘引する性質を持っているんです。もちろん、加工されたパーツは全く心配ありませんが、問題なのは、切削加工をしている時に発生する、「切り粉」と呼ばれる粉末です。これが水と反応すると発熱・発火につながってしまいます。2カ月間みっちり研修を受けてスタートしましたが、僕自身マグネシウムを扱うのは初めてでしたし、最初はやはりとても緊張しましたね。1年たって少しは慣れてきましたが、作業中はもちろん、作業後の片付けや掃除も気を抜かず、慎重にていねいに扱うよう、常に気をつけています。

マグネシウム棟も2年目を迎え、当初10台だった設備も増設されて、現在は20台が稼働しています。また、新入社員も配属され、現在は15人で二交替勤務にも対応。1年前に比べると、一人ひとりが考え、責任を持って業務にあたるようになって、生産性が向上しました。コミュニケーションも増え、みんな明るい雰囲気の職場で作業に従事しています。僕も後輩ができて、ちょっと心構えが変わりましたね。仕事のこと以外でも日常会話を含め幅広く会話し、意思疎通を図って、お互いが気持ちよく仕事に打ち込めるよう、時に厳しく、時に優しく接するよう心掛けています。

苦悩の末の達成感と感動を味わった「SIGMA fp」

この秋に発売となったデジタルミラーレスカメラ「SIGMA fp」にもマグネシウム素材のパーツが使用されています。パーツの加工では、鋳造加工の難しさに直面し、本当に悩みました。そのぶん、苦悩の末に完成に辿り着いた時の達成感と、発売になった時の感動は忘れられない経験になりましたね。

マグネシウム棟も人員がさらに増えましたから、これからは安全対策や危険物管理を再度徹底していかなければなりません。また、マグネシウムを自社加工できるという強みを活かし、素材や切削工具等の研究に取り組んでみたいと思っています。ただ、マグネシウム棟は安全性のこともあって、同じ敷地内でも工場から若干離れているんですよ。他の部署の人の顔を全く見ない日もあるので、そこは少し寂しいかな(笑)。

プライベートも充実しています。会津生まれ会津育ちなので、独身の頃から釣りやスノーボード、ツーリングなどで地元をフルに楽しんでいましたが、結婚して家も建てた今は、休日に友人を招いてBBQをすることも増えました。庭の外構工事も友人に手伝ってもらっているんですよ。週末はわいわい賑やかに過ごして、月曜からの英気を養っています。

山内利也

金属加工部特殊加工第2課特殊加工マグネシウム係

1987年福島県会津若松市生まれ、2011年会津工場入所。「当初は派遣社員だったのですが、上司から声をかけていただき、正社員になりました。会津生まれのせいか小さい頃からものづくりが好きだったので、金属加工の仕事は本当に楽しいです」

「これまで僕がいろいろと先輩に相談し、アドバイスをもらってきたように、僕も先輩として後輩たちと積極的にコミュニケーションをとっていきたいです」

Episode in Aizu

マグネシウム加工工程のリーダーとして、安全面を担保し、且つ高品質のマグネシウムパーツを生産するというプレッシャーは、計り知れないと思います。まずは自身の体調を整えるためにも休日には十分休養を取って頂き、万全の状態で職務にあたり、自社にマグネシウム専用工場があるメリットを活かすためにも、後輩の指導や更なる品質の向上に実力を発揮して頂ける事を期待しています。
(金属加工部部長 佐瀬直孝)

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