会津工場をめぐるストーリー

EPISODE 9

塑性加工部成形課小林 雄太

Yuta Kobayashi

photo: Kitchen Minoru
2019.10.09

え、『SEIN』のこのページに僕が載るんですか。僕で大丈夫ですかね、恥ずかしいな。でも、地元の友だちに見せちゃおうかな(笑)。

僕は入社して3年目です。会津若松の工業高校を卒業してSIGMAに入り、塑性加工部成形課に配属になりました。工業高校といっても僕は情報技術科でプログラミングなどを勉強していたので、工業機械にはまったく触ったことがなかったんですよ。でも、この会津工場に見学に来た時、総務の人から「SIGMAは会津から世界に出て戦っている会社です」という言葉を聞いて、「おぉ、カッコいい!」って、ちょっと感動しちゃって。僕は会津若松が好きで、地元から離れる気がなかったので、自分の好きな会津から世界へ出て戦うなんてすごいなぁと思い、入社を希望しました。

僕の仕事は射出成形の工程で、フロントキャップなどカメラのパーツを作っています。ビーズ状の樹脂ペレットを溶かして金型に流し込み、固まって出てきたものを無人運転の取り出し機で取り出し、次の部署に回すという仕事です。配属後はまず金型を機械に設置する「段取り」から教わったのですが、最初は本当に全く何も分からなかったですね。何が分からないのかも分からないから、説明してもらっても内心ではやっぱり「分かんねぇ〜」って(笑)。でも、周りの先輩たちは質問しやすい方たちばかりで、事細かに詳しく教えてくださって、とてもありがたかったです。とくに一つ年上の先輩には、仕事の基礎から一つひとつ教わりました。

自分が製造に携わった製品に出会うとうれしくなる

最近では機械の温度設定などもできるようになり、仕事の楽しさも感じるようになってきました。でも、仕事が分かれば分かるほど、自分には知識も技術も全然足りないなぁ、もっともっとできるようになりたいなぁと痛感します。今は何かあるとすぐ先輩に聞いてしまうけれど、行き詰まっても人に頼らず、自分で判断して乗り越えられるようになりたい。そして、後輩にしっかり教えてあげられるような先輩になりたいと思いますね。

失敗もあります。材料の樹脂にもいろいろな種類がありますので、使用する種類が変わる場合にはしっかり機械の内部を洗浄しないと、場合によってはガスが発生する原因になりかねません。ところがある時、使用樹脂が変わることに気づかず、洗浄を怠ってしまったんです。幸い係長が気づいてくださって事故なく済んだのですが、不注意の怖さを身に染みて感じ、以来、材料や工程の確認はしっかり行っています。

勤務は日勤と夜勤を交互に担当するローテーションです。日勤を1週間やったら、土日を休んで、月曜から夜勤を1週間、というシフトです。最初は夜勤がキツかったですね〜、もう眠気との戦いで。今はだいぶ慣れてきましたが、夜勤明けの土曜日は夕方まで寝ていることが多いですし、日勤始まりの月曜日の朝がいちばんキツイ。そのぶん、日勤明けの週末は全力で遊べるんですけど(笑)。

高校まで部活でテニスをやっていたので、今でも休日には先輩たちとテニスを楽しむことが多いですね。あとは温泉に行ったり、たまには仙台にいる友だちに会いに行くこともあります。そうそう、仙台でヨドバシカメラに寄ったら、SIGMAのコーナーに僕が工程を担当したカメラが展示してあったんですよ。残念ながら、会津若松にはSIGMAのカメラを販売している店が少ないので、うれしくなって、思わず友だちに「これオレが作ったキャップかも」って自慢しちゃいました。やっぱり、自分の仕事が実際に商品となって販売されていると、誇らしい気持ちになりますね。いちばん達成感を得られる瞬間かもしれません。

小林 雄太

塑性加工部成形課

1999年福島県会津若松市生まれ、2016年入社。「同期には小学校から一緒の友だちもいますし、同じ中学出身は僕を含めて4人います。会津の人間はやっぱり会津が好きなので、地元で就職する人が多いんです」。

「上司からどんな指示があっても対応できている先輩や、技術がずば抜けて高いベテランさんを見ていると、いつかは自分も……と憧れます」

Episode in Aizu

射出成形とは非常に奥が深く、環境や設備の変化に左右され、特に温度や湿度の影響を受けます。射出成形機の摩耗による変化でも成形条件が変わるため苦労する工程です。まだまだ勉強中ですが、「近い将来、国家技能検定試験に合格して資格を取得し、高い技術力を身につけ、会社に貢献したい」と日々精進してくれています。
(白井広志 塑性加工部部長)

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