2018.07.04

KG+2018 × SIGMA REPORT

「見る」と「撮る」の間に
〜写真の道具としての可能性を探る〜

SIGMAは「KYOTOGRAPHIE 2018」サテライトイベント「KG+ 2018」に メインスポンサーとして協賛。自らもさまざまな企画で参加しました。
約1ヶ月の開催期間中のもようを、数回のシリーズに分けてご紹介します。第1回目となる今回は、各イベント全体の概要をお伝えします。

text: SEIN編集部 photo:Hanae Miura / Tsutomu Sakihama / SEIN編集部

“これからの写真家とキュレーター”のためのプロジェクト

SIGMAは、2018年4月13日(金)から5月13日(日)に京都市内で開催された「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2018」のサテライトイベントであり、“これからの写真家とキュレーター”のためのプロジェクトである、「KG+2018」にメインスポンサーとして協賛しました。

具体的なスポンサーシップとして、新進作家に活躍の道を開く「KG+AWARD」のグランプリならびにファイナリスト各位への機材および作品発表機会を提供しました。またSIGMA自らも写真展の出展者として参加し、「SferaExhibition」に「SIGMA Satellite Gallery in Kyoto」を開設。写真家・伊丹豪氏の特別写真展と、「写真」をめぐる多彩なトーク企画をメインプログラムとして主催するとともに、会場では、SIGMA製品の展示やKG+×SIGMA限定グッズの販売など、期間限定の企画も行いました。

「KG+」への協賛を決めた理由

「写真と道具」を真摯に考えるメーカーとして写真と道具、表現と技術の関わりを問い続け、「アーティストのための撮影機材」をテーマに、ユニークでコンセプチュアルなカメラやレンズを手がけてきたSIGMAが、ものづくりと同様に大切にしていること。それは「芸術としての写真の素晴らしさ、豊かさ」に直に触れる機会をつくること。そして「写真に取り組むこれからの才能」に活躍の機会を提供することです。今年はその観点から撮影機材メーカーとして一歩踏み込み、「見る」と「撮る」をつなぐ、写真の道具としての可能性を探るべく「KG+」に協賛しました。


「KG+ AWARD」グランプリとファイナリスト

「KG+ AWARD」は非常にユニークなスタイルのアワードです。作家の年齢・職業・国籍・経験を問わず、応募条件となるのは、「KG+」開催中の定められた期間に京都市内で開催される、写真、またはヴィデオ、インスタレーションなど写真要素を含んだ作品の個展であること。

エントリーされた中から、KG+実⾏委員会メンバーにより選考を行い、Award及びExhibition参加アーティストを決定。個展を実際に外部の有識者及びKG+実行委員会メンバーが視察し、ファイナリスト(3〜5展覧会)を選考のうえ、「KG+」クロージングパーティーにて、ファイナリストより選出されたグランプリ1名が発表されました。
SIGMAはこの「KG+ AWARD」において、グランプリ受賞者へは10万円相当のカメラまたはレンズ(機種・マウントは選定可)を、ファイナリスト5名へは、撮影機材購入の補助として副賞授与2万円相当の商品券をそれぞれ授与しました。また、2018年オープン予定のSIGMAショールーム併設ギャラリー(青山)で、グランプリ受賞者の個展開催およびファイナリストによるグループ展開催を企画しています。

選考基準

・作品のクオリティ、表現手法、および展示方法の先駆性/独創性
・地域資源の新しい活用の可能性(展覧会場の独⾃性、空間活用の独創性など)
・展示企画の実現性(制作プラン、スケジュールなど)
・応募者の将来性

ファイナリスト

ニコラ・オヴレー「Lisa + Attractions Nocturnes」
杉山有希子「CRASH」
木内雅貴「Tangent」
顧剣亨「Utopia」
賀来庭辰「Choreography by Choreography」

グランプリ

顧 剣亨 | Kenryou Gu 「Utopia」

本「Utopia」展では、現代におけるユートピアを題材としたシリーズを展開。各々のユートピアを俯瞰して現代世界を見つめ直し、それらの集積からユートピアではない風景が出現するという考えを基軸に、その風景を忠実に記録し、表現することを試みた。

顧 剣亨 | Kenryou Gu

1994年京都生まれ、上海育ち。京都造形芸術大学現代美術・写真コース卒業。大学在学中フランスアルルの国立高等写真学校へ留学。現在京都を拠点に活動。


KG+ メインプログラム|ギャラリーページ

特別写真展
SIGMA Satellite Gallery in Kyoto
伊丹豪 特別展 with FOVEON「photocopy #2」

「SIGMA Satellite Gallery in Kyoto」では、新作写真集「photocopy」のほぼすべてをSIGMA sd Quattro HとSIGMA dp3 Quattroで撮影、国内外で高い評価を得ている気鋭の写真家・伊丹豪さんの特別写真展を開催しました。

圧倒的な解像力と色再現力をもつFoveonセンサーを搭載したSIGMA製カメラの特質を、余すところなく発揮した作品群を、会場の壁一面に展示。

伊丹 豪|Go Itami

写真家。1976年生まれ、徳島県出身。2004年、第27回キヤノン写真新世紀佳作受賞。写真集『study』『study / copy / print』『this year’s model』(RONDADE)、自身が制作する『MAZIME』をリリース。最新刊『photocopy』はほぼすべてSIGMA sd Quattro HとSIGMA dp3 Quattroで撮影された。


KG+ メインプログラム|トークイベント・リポート(順次公開)

「SIGMA Satellite Gallery in Kyoto」では、さまざまなセミナーやトークイベントも開催。どの回も多くの来場者とともに熱気あふれる時間となりました。各回の様子は今後随時公開していきますので、お楽しみに!

「もうひとつの撮影技術“製版”とFoveonセンサー」 (近日公開)
講師:鈴木一誌

「写真家にとって写真集はひとつの到達点」「印刷や製版(画像特性やプロセッシング)への理解は必須のスキル」を持論とするブックデザイナー・鈴木一誌氏による「作品集制作をめざすすべての写真家とクリエイター」のためのセミナー。

「印刷・製版において最良の結果を出せるのはFoveonセンサーしかない」という確信のもと、「色感・質感の再現力をもつ画像を見抜く眼」を教育し、写真作品の最終アウトプット(写真集)に耐えうる画質を実現する撮影機材・現像技法を「もうひとつの撮影技術」として学ぶ機会とする。

「写真を語る。カメラを語る。」 (近日公開)
対談:鈴木一誌 × 伊丹豪

自らの写真観と向き合い続ける伊丹豪氏と鈴木一誌氏の「写真と技法」をめぐる対談。

「写真は現実のコピーだ」という伊丹豪の写真観において、機材選びは最重要ファクターだという。自身も強く影響を受けてきた写真表現の系譜を意識しつつ、いかに現代最新のテクノロジーで新しい視覚体験を現実のものにできるかに挑みつづける写真家と、ブックデザイナーとの「写真と機材」をめぐる対話。

「Ways of Seeing ~視ること・撮ること~」 (近日公開)
対談:伊丹豪 × 小林美香

前日のスペシャルトークを引き継いだトークセッションの第3部でありKYOTOGRAPHIEパブリックプログラム。

「SEIN Online」の人気連載「Ways of Seeing」の執筆者でもある写真研究者・小林美香氏と、写真家・伊丹豪氏による「写真を視ること・撮ること」をめぐる対談。

SEIN Online特別企画「フォトヒロノブ」 (近日公開)
田中泰延 スペシャルトーク

SEIN Onlineに「フォトヒロノブ」を連載中の田中泰延氏によるトークショー。

写真や人生への情熱と圧倒的な博覧強記。写真との独特の距離感から自身を「写真者(しゃしんしゃ)」と呼びつつ、温かくも鋭い視点で軽妙な文章に綴る新コラムは圧倒的な人気を誇っている。

特別鼎談 KYOTOGRAPHIEパブリックプログラム (近日公開)
SIGMA presents Special Talk 「“写真で生きていく”ということ」
仲西祐介 × 中島佑介 × トモ・コスガ

それぞれ独自の領域で活躍している3名が「写真」を仕事とすることの面白さ、難しさ、国内外の市場性の違いや展望を語り合う。

「写真のプロ」というと商業写真家か作家(写真集出版)がひとつの理想として想起される日本で、多様な「写真で生きる道」を模索する3人の鼎談。

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