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慧日寺跡・薬師如来坐像
復元事業 完成式典レポート

磐梯町と東京藝術大学大学院による3年がかりのプロジェクト「薬師如来坐像復元事業」。SIGMAからも寄付という形で全面的に支援した取り組みでもあります。
2018年7月30日に晴れて完成式典を行い、一般公開が開始されました。完成した薬師如来坐像と式典の様子をご紹介します。
東京藝術大学大学院での復元作業の模様をお伝えした記事はこちらから。

text: SEIN編集部 / photo:Hisanori Kojima, SEIN編集部

2018.08.29

慧日寺跡と薬師如来坐像について

SIGMA唯一の生産拠点である会津工場の所在地、耶麻郡磐梯町に位置する旧跡・慧日寺。1200年の歴史を持ちますが、度重なる災害や戦火によって寺院や本尊は失われてしまいました。
昭和45年に国の史跡に指定されたことを契機に、資料館の設立や遺構の調査に加え、金堂・中門の復元が進められ、少しずつ本来の姿をうかがい知ることができるようになってきています。
そして2015年(平成27年)、本尊である薬師如来坐像の復元を東京藝術大学大学院 美術研究科 文化財保存学専攻 保存修復彫刻研究室(籔内佐斗司教授)に委託。3年の作業期間を経て完成し、2018年7月30日に除幕式を行い、一般公開が始まりました。

除幕式の様子
完成を祝い、東京藝術大学学長 澤和樹氏によるバイオリン演奏も奉納されました。

3月の取材時点では錆漆(さびうるし)を塗った黒い状態だった薬師如来坐像は、渋い金色をたたえ重厚な佇まいを持ちつつも、金堂と調和した様子で鎮座していました。自然な風合いを持たせるため、金箔の貼り加減やエイジング加工の程度は研究資料をもとに慎重に仕上げていったそう。
「完成にあたり最も心配だったのは、総重量1トンある仏像を金堂へ安全に運び入れられるかということでした。どのパーツをどのような順番で運ぶか、事前の計画をしっかり行ったので、当日はスムーズに搬入することができました。」と語るのは制作作業のプロジェクト・マネージャーを務めた東京藝術大学 小島久典さん(木造彫刻/保存修復 Ph.D.)。

仏像の形状から作り方、仕上げの方法にいたるまで、全ての情報は残された資料と当時の時代背景より調査・検討され、研究成果として導き出された技法と形状で制作されています。

+SIGMA vol.2|2018年初夏完成予定 磐梯町・慧日寺「薬師如来坐像復元事業」の現場を訪ねる

一般公開について

復元された薬師如来坐像は、磐梯山慧日寺資料館の展示物として観覧することができます。

■磐梯山慧日寺資料館
〒969-3301
福島県耶麻郡磐梯町大字磐梯字寺西38番地
|開館期間 4月1日~11月30日(期間中無休) ※冬季休館
|開館時間 9:00~17:00(資料館、金堂・中門) ※入館受付 16:30まで
|入館料 一般・大学生:500円、高校生:400円、小・中学生:300円
※写真は野外展示物の一部

除幕式のあとには声明(しょうみょう)公演も催されました。
夕べには雅楽のコンサートも開催。写真はステージが始まる前のシーン。夜の姿も荘厳です。

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