Baseball Glove 『ミズノのグローブ(青カップ)』

Autumn/2014

中学校では、野球部に所属していた。

ポジションはショート。軽快なフィールディングと素早い送球が求められるため、グローブはやや小型でポケットも浅めが理想とされる。小学校から使っていたものはそれと正反対だったので、入部後はショート用がどうしても欲しくなった。

母親との必死の交渉の末、手に入れたのは、憧れのミズノ「青カップ」。とにかくその青カップが格好良くて、ためつすがめつしては悦に入っていた。手入れをしたいがために、毎日必ず学校から家に持ち帰っていたことを憶えている。ものに対する強烈な愛着という意味では、このグローブが最初の体験だったのだろう。

そのせいだろうか。当社の製品をお使いいただくお客様にも、同じように深い愛情を持っていただけたらと常々願っている。とりわけコツコツ貯金をしてご購入くださるような若い方には、それを強く感じる。製品の作り手であり、お手元に届ける立場としては、製造のその先を見つめてものづくりに取り組みたいと思っている。

余談だが、当時のミズノのグローブには他にも、硬式用の赤カップ、ソフトボール用の緑カップの2種類があった。意識したことはなかったが、現在の当社の3つのプロダクトラインにも当時の記憶が作用したりしているのだろうか……。

ミズノの軟式野球用グローブのアイコンでもあった「青カップ」。優勝カップのロゴマークは、かつて野球少年たちの憧れの的だった。

(文/山木和人 シグマ代表取締役社長)

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