会津工場をめぐるストーリー

EPISODE 4

光学素子加工第2部 部長束田 宗一

Munekazu Tsukada

photo: Kitchen Minoru
2018.01.24

入社して35年になりますね。まずレンズ研磨の工程に配属されたのですが、最初は右も左も何も分からないので、とにかく目の前の仕事をやるしかない。ただひたすら、「仕事の量でも質でも人に負けたくない」という気持ちだけでした。会津生まれの会津育ちだから、負けず嫌いなのかな(笑)。

当時は工場も今ほどきれいではなかったんですよ。むしろ、かなり汚かった(笑)。というのも、その頃は研磨に焼き付けの工程があって、その煤で工場がすごく汚れるんですね。それを見た先代の社長が「もう、これまでの方法はやめよう」と。

先代もそうですし今の社長もそうですが、SIGMAは新しい方法や機械をどんどん取り入れる会社で、設備投資を惜しまないところがある。会社としての体格は大きくありませんが、だからこそ進取の姿勢で臨まないと勝負にならない。「竹槍では勝てません」。それが先代の口癖でしたから。レンズなどの光学製品の製造機械はどうしても相当高額になりますから、値段の桁を見ないようにして恐る恐る導入を提案するんですが(笑)、製造ラインの強化は会社の生命線なので、会社もこういう現場の声に耳を傾けてくれます。ものを作る人間としては本当に有り難い環境だと思っています。

今の部署は、レンズ加工の蒸着・芯取り・接合・墨塗り工程です。昔と比べて加工技術や工程も変わりましたし、レンズそのものも変わりましたね。1本のレンズの中には複数のレンズが組み合わされていますが、最近のレンズは全体的にF値の小さい、より明るいものが求められるがゆえに、より大きな口径のレンズを、より多く組み合わせる傾向があります。もちろん、それに伴って加工も難しくなってきています。

でも、我々はどんなに厳しい要求であっても「できない」とは言えない、言いたくないんです。図面が上がってきた時、少々難しいなと思っても、「うちができないものはよそでもできない、だから自分たちでなんとか実現してみせる」とチャレンジする。私の部署だけではなく、どの工程・部署でもそうしていると思います。数年前、山木社長が「世界一の品質を目指そう」という目標を掲げました。今、全従業員が「世界一」を目指して働いています。

そのためには、改善すべきところは躊躇せず改善していかなければならない。固定観念にとらわれず、異なる意見も真摯に、柔軟に受け入れて、新しいことにチャレンジするという気風がSIGMAにはあると思っています。挑戦してみてだめなら次のことを試せばいいんですよ。変化を拒まず、受け入れ、挑戦し続ける。これだけ技術の進化が速く、世の中の要求水準も高い時代ですから、そうしていかないかぎり、我々も進化できないと思っています。

束田 宗一

光学素子加工第2部 部長

1964年、福島県耶麻郡磐梯町生まれ。1982年入社、光学素子加工第1部に配属。2013年より現職。「工場設立前から磐梯町で育っているので、何でも知っていますよ」

Episode in Aizu

レンズ供給にいつも尽力している束田さんは、技術者からの新提案の受け入れや、新しい加工方法や新素材にいち早く挑戦し、社内に導入していくなどの高い柔軟性の持ち主です。優れたものづくりを支える会津工場で、中心的な役割を担う光学2部において、会津人特有の朴訥さと柔軟さを併せもち、信頼されている存在です。
(久保田健一 光学素子生産統括)

Share on social media