会津工場をめぐるストーリー

EPISODE 3

光学素子加工第1部荒摺課係長井上 ちえ

Chie Inoue

photo: Kitchen Minoru
Early Summer/2017

私が所属しているのは、レンズ加工の一番最初の工程となる荒摺工程です。品質に対しダイレクトに影響する重要な作業になります。もちろん、高校を卒業してSIGMAに就職するまで、このような仕事があるなんて全く知りませんでした(笑)。そんな私が、入社と同時に荒摺課に配属になり、「じゃあ、ちょっと機械を回してみようか」といきなり実作業。手を動かす面白さはそれなりにあったのですが、責任感などはやっぱり学生時代とのギャップが大きすぎて。今だから言えますが、何度も『ズル休みしたいな』なんて思ったことがありましたよ(笑)。

ようやく「自分のレンズ」という責任感を持てるようになったのは、5年目ぐらいでしょうか。

最初のうちは不良ばかり出してしまって後工程の人から叱られたこともありましたが、仕事を覚えてくると自然に体が動き始め、生産ノルマも達成できるようになるんですよね。

失敗があっても、
それが改善への近道になる

品質のことまで考えられるようになったのは、もう少し後のことです。仕上がりが向上していくと、それがやりがいとなり、仕事への興味も湧いてきました。どうやったらもっと品質を上げられるかと改善策を考えるようになり、後工程の人からも信頼を得られるようになったんです。

入社して15年が経ち、今では結婚して子供も3人。朝、子供たちが学校や保育園に出ていくのを必ず見送ってから、大急ぎで出勤します。仕事と家事と育児をすべてこなすのは簡単ではありませんが、そこから学ぶことも多く、ずいぶん柔軟な考え方ができるようになった気がします。

職場では後輩に仕事を教える立場になりましたが、「こうしなさい」と自分のマニュアルを押し付けたくはないですね。守るべきところは守らせますが、品質や効率性を追求するのであれば、自分なりの「考え」を試してみることも大事だと思うんです。失敗があっても、結果的には改善への近道になる。

柔軟に、合理的に、効率よく改善を図る。それが、私なりの働き方かもしれません。

井上 ちえ

光学素子加工第1部荒摺課係長

福島県喜多方市生まれ。入社以来、レンズの荒摺りに取り組む。「会津は本当に良いところです。季節ごとに自然を楽しむことができておすすめです!」

朝夕で変わる繊細なレンズの仕上がり。安定化を図るための測定が欠かせない。

Episode in Aizu

常に改善の意識を持って仕事に取り組む姿勢には感心させられます。改善提案表彰では治具作製における時短加工法を提案し、見事に銅賞を受賞。「ものづくり」における探究心が強く、加工機を操る姿には職人の凛とした心意気が漂う。女性の繊細さと調和した優しい仕事ぶりは、レンズの精度向上に貢献してくれています。
(鈴木直人 光学素子加工第1部 部長)

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